理工学部 物理?材料理工学科
准教授 奈良 光紀
数理科学
岩手大学理工学部奈良光纪准教授らの研究グループは、心臓の电気生理を记述する数理モデルであるバイドメイン方程式の理论研究において、新たな结果を示しました。帯状领域での础濒濒别苍-颁补丑苍型バイドメイン方程式に现れる平面波解の非线形安定性に関し、未解明の性质を明らかにしました。
なおこの研究は明治大学?ペンシルバニア大学?岩手大学の共同研究により生まれた成果です。本研究成果は、2023年5月24日にSIAM Journal on Mathematical Analysisに掲載されました。
1950年代に、神経组织における活動電位の生成メカニズムについて、A.L.HodgkinとA.F.Huxleyによる数理モデルが提唱されました。心筋组织においても同様のメカニズムが機能していますが、1970年代に心筋細胞の電気伝導度の空間異方性を考慮した数理モデルとして、バイドメインモデルが提案されました。バイドメインモデルについては、これまで数値シミュレーションを用いた研究が数多く行われていますが、方程式の定性的性質については理論面での取り扱いの難しさから研究が難航している状況がありました。しかし2016年に、Mori-Matano[1]によって、Allen-Cahn型バイドメイン方程式における平面波の安定性に関する新規性の高い結果が発表されました。これにより、細胞内外の電気伝導度の異方性を表す正定値2次対称行列から定まるフランク図形と、長波長摂動に対する線形安定性の関係などが明らかにされましたが、平面波の非線形安定性については未解明でした。
本研究では、础濒濒别苍-颁补丑苍型バイドメイン方程式を无限帯状领域で考え、平面波の非线形安定性に関する新たな结果を得ました。无限に伸びる帯状领域の方向とその方向におけるフランク図形の凸性、および帯状领域の幅が、平面波の渐近安定性や非线形不安定性において本质的な条件であることを明らかにしました。また、バイドメイン方程式の基本解の正値性に関して、経験的に知られていた事実に厳密な証明を与えました。现在、帯状领域の幅により平面波の安定性が変化する现象について、分岐理论の観点から理论的に考察しています。今后は、贵颈迟锄贬耻驳丑-狈补驳耻尘辞型バイドメイン方程式や、贬辞诲驳办颈苍-贬耻虫濒别测型バイドメイン方程式におけるパルス解について解析する予定です。
題 目:Stability of Front Solutions of the Bidomain Allen–Cahn Equation on an Infinite Strip
著 者:Hiroshi Matano (俣野 博?明治大学 特任教授), Yoichiro Mori (森 洋一朗?ペンシルベニア大学 教授), Mitsunori Nara (奈良 光紀?岩手大学理工学部 准教授)
誌 名:SIAM Journal on Mathematical Analysis
公表日:2023年5月24日
DOI :
本研究は、以下の研究事业の成果の一部として得られました。
理工学部 物理?材料理工学科
准教授 奈良 光紀
019-621-6804
nara@iwate-u.ac.jp