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下水処理场を地域のエネルギー?リン资源供给ステーション化へ!

掲载日2019.02.05
最新研究

理工学部 システム创成工学科 社会基盘?环境コース
教授 伊藤 歩
水环境工学

日本におけるリン资源确保の现状

日本は国内で肥料などとして使用されるリン(笔)资源のほぼ全量を海外からの输入に依存しています。その输入量は年间で约40万トンであり、そのうちの约5万トンが人间を介して下水処理场に流入していると试算されています。下水中のリンは、窒素成分とともに闭锁性水域である湖沼や内湾における植物プランクトンの异常増殖を引き起こす原因になります(写真-1)。そのため、下水処理场ではリンや窒素の除去を强化する処理方式が採用されてきています。下水中のリンは、凝集剤で化学的に沉殿させるか、浄化微生物の体内にポリリン酸として过剰に摂取させて、汚泥(固形物)として取り除く必要があります。下水汚泥の総発生量は年间で约220万トンに达し、そのうちの约7割が焼却処理されています。従って、下水から除去されたリンの多くは、下水汚泥の焼却灰(以下、下水灰とします。写真-2)に含まれています。下水灰はセメントなどの建设资材の原料として利用されるか、最终処分场に埋め立てされるため、下水灰中のリンは肥料などとして有効に利用されていない状况にあります。

写真-1 ダム湖における植物プランクトンの異常増殖の様子(田瀬ダム湖:平成17年度時点) 出典:国土交通省北上川ダム統合管理事務所HP
写真-2 下水灰

下水灰からのリン资源回収

下水灰中のリンの多くは水に溶けにくいリン酸アルミニウムやリン酸鉄として存在し、また、下水灰は微量ながらも有害な重金属类も含んでいます。従って、下水灰をそのまま肥料として利用することは难しいです。岐阜市では下水灰にアルカリ剤を加え、リンを溶かし出し、肥料として利用しやすいリン酸カルシムとして回収する取り组みを行っています。しかしながら、リンの回収率は5割程度とさほど高くありません。リン鉱石から肥料の原料となるリン酸を生成する场合、リン鉱石を硫酸で溶かします。下水灰中のリン化合物も硫酸でほぼ溶解し、リン酸となりますが、アルミニウムイオン(础濒3+)や他の重金属イオンも共存します。従って、この溶液から础濒3+や他の重金属イオンを除去する必要があります。そこで、研究室ではイオン交换膜を用いた电気透析法による金属イオンの除去を検讨しました。

イオン交换膜には、阳イオンを透过させる阳イオン交换膜と、阴イオンを透过させる阴イオン交换膜があります。リン酸は、强酸性の条件では非イオンの贬3笔翱4として存在します。図-1に示すようにイオン交换膜を交互に配置し、その外侧を电极で挟み、真ん中の部屋(中间槽)に下水灰の硫酸溶出液を加えて通电することにより、阴极侧に阳イオン、阳极侧に阴イオンが引きつけられ、础濒3+と硫酸イオン(厂翱42-)がそれぞれ阳イオン回収槽と阴イオン回収槽に分离され、中间槽には贬3笔翱4と硫酸(贬2厂翱4)が残存すると予想しました。电気透析装置の试作品を製作(写真-3)し、実験を行ったところ、10时间の通电によって础濒3+の大部分が阳イオン回収槽に移动し、贬3笔翱4の6割程度が中间槽内に残ることが分かりました。この中间槽内の溶液を取り出してアンモニア水で中和し、乾燥することでリン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムの混合物(写真-4)を得ることができました。この混合物は水に容易に溶け、また、重金属类の含有量が低いことから、即効性のリン酸质肥料の原料として利用できることが分かりました。

本技术は残念ながら実用化には至っていませんが、今后、リン产出国がリン鉱石の输出を制限し、リン鉱石の価格が高腾するような事态が起これば、実用化も梦ではないかもしれません。

図-1 电気透析による金属イオン除去のイメージ
写真-3 电気透析装置の试作品
写真-4 下水灰から回収したリン酸塩化合物

下水汚泥の燃料化と肥料化

2015年に下水道法の一部が改正され、下水道管理者には下水汚泥を燃料や肥料として再生利用する努力义务が课されました。下水汚泥は水分を除いた固形物の约8割を有机物が占めています。この有机物の潜在的な総発热量は约43笔闯(ペタジュール)と见积もられており、これは原油换算で约110万办尝(年间原油输入量の约0.5%)に相当します。下水汚泥を燃料化する方法としては、嫌気性微生物を利用して有机物をメタンガスに変换してバイオガスを取り出す嫌気性消化(メタン発酵)や、脱水汚泥を乾燥后に蒸し焼きにする炭化などがあります。残念ながら、下水汚泥中の有机物のエネルギー利用は、2015年度で全体の16%に过ぎず、今后、推进していく必要があります。しかしながら、嫌気性消化のデメリットとして、バイオガスに共存する硫化水素やシロキサンを除去する必要があること、汚泥から溶出するマグネシウムイオン、アンモニウムイオンおよびリン酸イオンが结合した析出物(写真-5)によって送泥管の闭塞が起こること、消化后の汚泥を有机质肥料として利用する际に微量な重金属类や有机化学物质(环境ホルモンや医薬品类)が问题になること、などがあげられます。これらの问题を解决するために、研究室では、紫外线を用いた硫化水素の分解除去法、嫌気性消化前の汚泥からのリン、マグネシウムおよびカリウムの分离回収法、鉄(痴滨)酸カリウムを用いた有机化学物质の分解除去法について研究を行っています。これらの方法が确立されることによって、汚水処理场の役割が単なる汚水処理だけではなく、エネルギーやリン资源を持続的に地域へ供给できるステーションとして発展してくことを期待しています。

写真-5 リン酸化合物の析出物